階段の下座り込み、あめ玉をじっと見つめて考え込むY君。私が保育室で様子を見守っていると、15分後、ニコニコしながら私の方に歩いてくるY君。手には、あめ玉がありません。私が「あめ玉、どうしたの?」と尋ねると、Y君はズボンに付いている4個のポケットの中でも一番大きいホックの付いたポケットをポンポンと叩いてみせました。
【感想】
そこには、誇らしげなY君の笑顔がありました。Y君はその後、一度もあめ玉を出すことはありませんでした。
3歳児は、3歳児なりに「考える力」があると感じました。迎えにきた母親にそのことを話し、Y君には「先生、助かったわ。ありがとう」と自然に感謝の気持ちを伝えていました。
子どもに、自分の行動が時には人に迷惑をかけたり、困らせたり、何らかのトラブルの原因になることをわたしメッセージで具体的に伝えます。と同時に、能動的な聞き方への切りかえで子どもの言い分の聞くので、私も安心して見守ることができます。また、子どもは子どもなりに想像し、そのトラブルを未然に防ぐにはどうしようと考え始めます。
あえて自分を語る。そのことを意識するようになってから、子どもに「考える力」が育っていると実感しています。
HRN2008春号より